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移動手段シェアリングの未来はパリに!

自転車シェアリングを初めて経験したのは2014年10月にサービスが導入されたばかりの港区自転車シェアリング。当時働いていた六本木一丁目から虎ノ門ヒルズまでランチに行くのに利用した。1時間100円(現在は150円)という利用料金と電動アシスト付自転車の快適さも相まって、使える楽しいサービスという印象が残った。

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Lundahoj

東京を離れ2年ぶりに戻ってきたスウェーデン・ルンドでも、ちょうど同時期の2014年8月よりLundahojという自転車シェアリングが始まっていた。しかしこちらでは自転車を既に所有していたためサービスを試す機会がなかったが、先日自分の自転車を1週間メンテナンスに出した際に早速登録して使ってみた。

結構大きく重そうな自転車だったので勝手にルンドも電動アシストと思っていたら、普通のギア付き自転車で少しガッカリ。が、もっと驚いたのはその料金の安さ。年間の登録費として75クローナ(本日の為替レートで約900円)を払えば、後は30分以内の利用なら1年中何度使っても無料。登録と利用時には日本のSuicaのような普段、公共交通機関で使っているICカードを兼用できる。

どうしてこれだけのサービスをこの料金で提供できるのか調べてみたところ運営は、ルンド市から優先的にバス停などの広告スペースを使える権利を入手することを条件にサービス実施契約を結んでいるJCDecauxが行っていることが分かった。

JCDecauxは世界56カ国で屋外広告事業を展開するフランス発の大手広告代理店で、日本でも2000年から三菱商事と合弁会社を立ち上げ、大型商業施設やバス停等での広告を手がけている。スウェーデン始めヨーロッパ各国・各都市の快適なバス停環境はこの会社によって保たれているといっても過言ではない。

現在では全世界70都市で実施されているJCDecauxのこの自転車シェアリングサービスは(日本では富山市で実施されている)、2005年にフランス・リヨンで始まり2007年にはパリにも導入された。

パリのVelibは現在では1800の貸出・返却ステーションに2万3600台の自転車があり、パリっ子はもとより観光客にも人気のサービスとなっている。登録したクレジットカードに150ユーロの保証金を一時担保されるものの、利用料金自体は一日利用の場合の登録料はたったの1.7ユーロ(約200円)、ルンドと同じくパリでも30分以内の利用は無料だ。

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パリの格安自転車シェアリング。超楽しい〜♪

 

先週訪れたパリでも早速使ってみたが、テロの影響で観光客が激減しているせい?もしくは自転車を移動させるメンテナンスの人達がバカンスで休んでいるせい?なのか返却できるステーションを見つけるのが少し難しかった以外は快適な使い心地だった。

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真夜中に手続きを行う怪しいスウェーデン人の夫

同様にここまで簡単にサービスを提供できるとは!と感心したのが、既に2011年12月からパリ市とその近郊に導入されている電気自動車シェアリングサービスautolib

Velib, Autolibともサービスの概要は日本自動車教育振興財団が発行している情報誌 Traffi-Cation 2014年春号の記事「フランス・パリの 官民共同カーシェアリング」によくまとまっているが、このサービスの手軽さは使ってみないとわからない。

宿泊していたパリ郊外の友人宅からヴェルサイユに行くには、電車よりも車の方が断然便利と分かった深夜に、友人宅から徒歩3分の使用開始登録ができる24時間オープンのautolibステーションまで出向き、無事即座に登録カード発行。

後は上のリンク先記事にある通りとっても簡単に使えて、思わず「パリ市、ヤルじゃん!」と座布団を一枚差し上げたくなるほど。

上述の様に自らあまりリスクを取らずとも、JCDecauxとの協業で自転車シェアリングを成功させたパリ市においても、EV車シェアリング導入は当時パリ市長であったベルトラン・ドラノエのイニシアチブがなければ多分実現は難しかっただろう。

自動車交通削減と代替公共交通機関充実を自らの重点施策として掲げていた彼の強力なリーダーシップがあってからこそ実現できたであろう、電気自動車シェアリング。

スペイン出身の現パリ市長かつパリ初の女性市長アンヌ・イダルゴの元でautolibは経済的に成り立つのか?といった総括検証は未だ実施されていないものの、使用できる車体数が増えているなど、一定の評価は受容している様に見受けられる。

街のあり方を変えていくのは、どんなに強い反対があろうとも自らの信念に基づき、大胆な改革を推し進めていく政治家の力に負うことが多い。

日本の政治家の皆様、覚悟はいかがでしょうか?

 

 

 

 

© Hiromi Blomberg 2020

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